~落書き帳「○△□」~
「三春まちなか寺子屋」第1回の話題からもう一つ。(平成29年1月14日:龍穏院)
佐久間庸軒門の五天王の一人、佐藤刻治の撰になる問題です。これはすでに「折々の算額」で紹介しました。
【問題】
今有如図直内容三斜設甲乙丙積
只云甲積四歩 又云乙積二歩
別云直積一十六歩
問三斜積幾何
(信夫郡荒井村 佐藤刻治 撰)
当日はA5版の用紙を「直」に見立てて、それを縦横に折り「三斜」を書き入れました。
参加された三十数名の方々の反応もよく、応用問題
「直の面積が12歩、甲が3歩、乙が2歩のとき、三斜の面積は?」
に対しても抵抗なく取り組まれました。「直」の辺の3等分については、落書き「83」をご覧ください。
これだけで終わってしまうなら、どうということのない問題。五天王の一人の撰にしては物足りない感じを受けますね。そこで、上記にはない「術」の部分を読んでみました。
【術曰】以別云除只云因又云二段以減別云半得三斜積合問
これを今風に記述すると、「直/2-(2甲乙)/直」となりますが、こはいかに。狐につままれた感じになりませんか?
確かに、直=16、甲=4、乙=2 としてみると、16/2-(2×4×2)/16=8-1=7
直=12、甲=3、乙=2 としてみると、12/2-(2×3×2)/12=6-1=5
と正解を返してくるのですが、私たちの(図)解法からは上式の意味するところは見えてきません。
おそらく、撰者は次のような思惑を術に込めたのではないでしょうか。
・面積を整数値で具体的に与え、誰でも取り組めるようにする(小学生~)。
・その分【術曰】では、与えられたデータ(只云~別云)だけで三斜積を決定する一般式を
提示する。
それによって、和算特有の式変形の妙を示すとともに、縦横の格子以外の補助線の可能性を引き出そうとしたのかもしれません。
第2回(2/11)の寺子屋で再び話題に上ることを期待しましょう。皆様からのメールもお待ちしております。