~落書き帳「○△□」~
前回の蕎麦形術では、立方体の1つおきの頂点を結んでできる正三角形を切り口とする4平面で切り落としました。4個の断片(3直角四面体)は立方体全体の 1/6 ずつの体積をもち、切り出された正四面体は全体の 1/3 の体積をもちます。
立方体の辺長を a とすると、断片の3直角四面体は、面積 (1/2)a² の二等辺直角三角形3面と、面積 (√3/2)a² の正三角形1面(=正四面体の面)からなります。
この切断を一般の直方体に施し、断片(3直角四面体)を調べてみましょう。
3直角四面体において、3直角が集まる頂点をO、他の頂点を A, B, C と名付け、OA=a, OB=b, OC=c とします。
全体の直方体の体積 abc に対する3直角四面体の体積(及び、切り出される四面体の体積)の関係は、蕎麦形の場合と同じです。そこで、各面の面積を考えます。
△OAB, △OBC, △OCA, △ABC の面積をそれぞれ S1, S2, S3, S で表すと、
S1=(1/2)ab, S2=(1/2)bc, S3=(1/2)ca
また、△ABC において、
cos∠BAC=(AB²+AC²-BC²)/(2×AB×AC)
ですから、
S=(1/2)×AB×AC×√{1-(cos∠BAC)²}
=(1/4)√{4×AB²×AC²-(AB²+AC²-BC²)²} ……(*)
=(1/4)√{4(a²+b²)(c²+a²)-(2a²)²}
=(1/2)√(a²b²+b²c²+c²a²)
すっきりした形になったのは、3直角の特性(三平方の定理)のおかげ。一目で
S1²+S2²+S3²=S²
という、これまたシンプルな等式に気付きます。
この等式は、「デカルト・グアの定理」の名で知られています。これはまさに、直角三角形における三平方の定理の立体版ですね。