~落書き帳「○△□」~
磯村吉徳の書から170年ほど後の文政13年(1830)に、『算法新書』( 長谷川寛閲,千葉 胤秀編)が出版されました。その中から、前回と同じ「山形の術」を取り上げ、磯村の図解法と比べて見ましょう。
磯村の図と比べて込み入っているのは、三平方の定理で計算する部分(前回「238」の②式)も図に盛り込んでしまおうとしたからです。要らぬ心配かも知れませんが、術の内容を色の塗り分けで示してみました。
図は、b²+c²=a²+2cy という等式が成り立つことを示していますね。
『算法新書』の問題文は右の写真には写っていませんが、
「大斜十五寸中斜十四寸小斜十三寸長股及短股中勾(鈎、鉤と同じ)各何程と問」
とあります。大斜、中斜、小斜はそれぞれ c, a, b で、短股は y ですから、上式より
y=(-a²+b²+c²)/(2c)=(-14²+13²+15²)/(2×15)=33/5=6.6
となって、「答曰、短股六寸六分」。
さて、皆さんはどちらの図解がお気に召したでしょうか。残りの長股と中勾(山の高さ)を求めつつ、ご鑑賞ください。