~落書き帳「○△□」~
「デザインと数学の架け橋を」と題して、編集者の飯野玲氏による野老朝雄氏インタビュー記事が『数学セミナー』に掲載されました(2016.12、日本評論社)。愛好家にはたまらない、しかも和算の流れ、街角の数学を感じさせるお話に感銘を受けました。ここに、その一部を引用させていただきます。
「私はこうして手で考えているから、びっくりするほど遅い。菱形の並べ方にしても、60個を並べるやり方は何億通り以上ある……が、私は美術を目指したいので、アナログな方法で
旅をする。「あそこまで行くならバイクを貸すよ」と言われても、とぼとぼ歩いていく。そうすると、「こんなところに草が」と気付くことができます。」
氏の『BUILDVOID』という作品について、あるひとが北欧の学会で同じものを見つけて、「野老さんの6年遅れです」と言ってくれたことに対して、
「私としては同じものがあったことが嬉しかった。……私が先にやったとか言うのは、その時点で悲しい。数学の概念としてはギリシャやローマの頃だってあるわけですから、当時に
もたまたま同じものがあったかもしれない。だから、複雑なことをしてオリジナリティを得ようというのではなくて、丸・三角・四角だけで何かまだできないかなといつも思っています。」
読後、どうしても「手で考え」たくなって、中川さんに正12角形の菱形パズルも作っていただきました。野老氏に直接お断りするすべを持たないため、現物の写真は掲載しません。(落書き「248」「250」の図と「253」の写真からご想像願います)
以上、落書き「245」からだらだらと話を続けてきました。「二重長方形」という用語を目的外使用しつつ、ペンローズの菱形や「2020」をちらつかせながら。
素敵なデザインを考案された野老氏に敬意を表し、数楽カフェや夏季セミナーのたびに皆で(内輪で?)パズルを楽しむことといたしましょう。