~落書き帳「○△□」~
昨年(平成28年)の春、縁あって田村市役所文化課を訪ねました。市で保管する算額写真のデータをお借りする目的でしたが、その折、窓口に置いてあった市文化財に関するリーフレットの算額写真に目が留まりました。
大越町牧野(まぎの)の見渡神社算額一面。安政3年(1856)奉納の古い額で、縦長の小さい額(62cm×34 cm)に立体の問題が1問書かれています。
目に留まった理由は、江戸時代の額であること、立体(球と回転楕円体)の接触問題であること、そして『福島の算額』(福島県和算研究保存会編)では見た記憶がないこと。
帰宅後、本を取り出して調べたところ、やはり載っていませんでした。町村合併で田村市に統合されてから、文化財の再調査によって発見されたのでしょうか。その経緯は不明ですが、一見の価値があり、少なくとも保存会の資料に加筆すべき算額と感じ、訪れる機会を待っていました。
神社を参拝したのは、今年(平成29年)になってからのこと。7月19日、夏の昼下がりでした。出迎えて下さった氏子総代の方の案内で石段を上りつめると、白銀に輝く屋根を持つ社殿が現れました。
~応永年中(1394~1427)の鎮座と伝えられ、牧野総鎮守として信仰があつい。
慶応十九年(1614)の棟札が残されており江戸時代初期にはすでに本殿を有して
いたことが偲ばれる。又、境内には樹齢三〇〇年にもおよぶブナの大木やコナラ、
アカシデ等、このような里山では特に珍しいといわれる大木が自然のまま保護
されており、わずか三反歩程度の神域の森に三十三科七十三種の植物が美しく育ち、
厳かな社の杜を形づくっている。~
(案内板:「小さなふれあいの旅路⑰ 見渡神社と社の杜」より)