~落書き帳「○△□」~
前回の「ES(4)=5」については、問題を提示した Esther Klein 女史自身が1935年に解決していました。「306」に書いたように、この問題が縁で?仲間の一人 George Szekeres と結婚しました。そのため、この「Erdös-Szekeres の凸多角形問題」は「happy ending 問題」とも呼ばれるようになったようです。
凸五角形問題については、Esther と同じ1935年に E.Makai が「ES(5)=9」を示しましたが、その証明が残されていないそうです。凸四角形のときと同じように
① ES(5)≠8、すなわちES(5)>8
② ES(5)=9
と二段階に分けて、数楽カフェで話題にしてみましょう。①だけでも、全員がお絵描きできるといいですね。
凸六角形については、今世紀の2006年になってようやく、Szekeres と Peters によってコンピュータを用いて確かめられました。結果は「ES(6)=17」。
実は、Erdös-Szekeres はその論文(1935)ですでに、「ES(n)=2^(n-2)+1」と推測しています。これは、
ES(3)=3, ES(4)=5, ES(5)=9
までの段階での推測であり、実際には
2^(n-2)+1 ≦ ES(n) ≦ (2n-4)C(n-2)+1
という評価式を証明している
(「We might conjecture therefore that N0(n)=2^(n-2)+1, but the limits given by our proofs are much larger.」(N0(n)はES(n)と同じ))
わけですが、前者の推測が凸六角形の場合でも正しいことが、71年後に確かめられたわけですね。
「happy ending 」という呼び名に反して、現在でも研究が続いている(評価式は向上しているものの、ending でない)難問です。