~落書き帳「○△□」~
三辺の長さが連続数であるヘロンの三角形。その辺長は、
(α^n+β^n-1, α^n+β^n, α^n+β^n+1) ……(*)
と表せることが分かりました。ただし、n は自然数で、α=2+√3, β=2-√3 です。
細矢治夫先生の『三角形の七不思議』(講談社ブルーバックス)には、次の興味深い記述があります。
「連続数ヘロンの三角形(b-1, b, b+1)の面積は、1辺が b の正三角形の面積に限りなく下から近づくが、その差は √3/2=0.8660254…より小さくならない」
これまた結果のみ記されているので、少し調べてみます。
連続数ヘロンの三角形(*)の面積を Sn、1辺が α^n+β^n の正三角形の面積を Tn と
します。
Tn=(√3/4)(α^n+β^n)², Sn=(√3/4){α^(2n)-β^(2n)}
両者の比をとると、
Tn/Sn=(α^n+β^n)/(α^n-β^n)=(1+β^2n)/(1-β^2n), |β|<1
したがって、比の値は限りなく1に近づくのですが、両者の差は
Tn-Sn=(√3/4)[(α^n+β^n)²-{α^(2n)-β^(2n)}]
=(√3/2)(α^n+β^n)β^n
=(√3/2)(1+β^2n)
となりますから、確かに
「差は限りなく √3/2 に近づくが、それ以下に接近することはない」
ことが分かります。
整数の辺長が無理数で表現される不思議もさることながら、上記の事実もたいそう面白いものです。「√3/2 って、なあに?」
尚、三辺の長さが一般の等差数列をなす場合でも、同様の議論が展開されます。