~落書き帳「○△□」~
前回取り上げた問題の撰者である助川音松自身の手になる算額があったそうです(『算法見聞集』)。明治二十四年一月とありますが、奉納されたものかどうかは不明です。2つの問題からなり、その2問目が「216」の類題になっています。
【問題】
今図ノ如ク等円相交、菱及ヒ円ヲ容アリ
赤積を設ケ、其積至多カラシメント欲ス
容円径ハ等円径ノ何分ニ当ル哉
(片曽根村 助川音松 撰)
ここでも2つの等円の直径は定数です。ただし、今度は図の赤い部分の面積を調べます。
前問「216」が解けた方にはこの問題も容易でしょう。変数も前問に倣って、等円の中心から2円の共通部分を見込む角にとります。
答えて曰く、容円径(黄円径)は等円径の四分の一。
この問題は人気があったようで、他の2か所の算額にも撰ばれています。
一つは、三春大神宮算額第7問。こちらは上図で「赤積が最大となるとき、菱長は黄円径の何倍?」を問うています(撰者不明)。
答えて曰く、菱長は黄円径の7倍。
もう一つは、田村大元神社算額第9問で、「赤積が最大となるとき、菱長は等円径の何倍?」を問うもので、
答えて曰く、菱長は等円径の1.75倍。
こちらの撰者は、「橋本慶三郎 男 橋本慶造」とあります。父子の関係ですね。
結びに、変数の「等円の中心から2円の共通部分を見込む角θ」 に言及しておきましょう。
「赤積が最大となるとき、cosθ の値は?」