~落書き帳「○△□」~
前回のウルトラマンの倒立技は、頭(円)が直角三角形の傍接円であることを、体を張って示したものでした。
与えられていた条件は、直角三角形の周の長さ(鈎股弦三和)。これで思い出されるのは、三角形の面積と内接円径の関係です。
任意の三角形ABCにおいて、内接円の半径を r、周の長さを a+b+c=2s ……①
とすると、
三角形ABCの面積:S=r × s ……②
という単純な関係式が成り立っています。この性質は、内心と各頂点を結んで3つの三角形に分けることで容易に示すことができます。
傍心についても同様の補助線を引いてみると、これまた容易に次の結果が得られます。
角A内の傍接円の半径を rA とすると、
三角形ABCの面積:S=rA × (-a+b+c)/2 ……③
この式は、内接円のときの s を用いて S=rA × (s-a) とも表現されますが、改めて
(-a)+b+c=2s
とおいた、すなわち、①式においてAの対辺の長さ a を -a に置き換えたと解釈すれば、
③は②に一致します。なんとも不思議ですね。傍接円は高校の教科書にも表立っては登場しません。「傍」と付く呼び名がそうさせるのでしょうか。傍らに控えさせておくのは、実にもったいない話です。
傍接円の名誉のために、上記の結果を用いる問題を提供しておきましょう。狭い所に挟まれた38号の呻き声が聞こえてきそうですが。
【問題】下図で、a=7, b=20, c=15 のとき、r と rA を求めてください。(街角の数学)