~落書き帳「○△□」~
一松信先生が、新刊の御著『創作数学演義』(現代数学社)をご寄贈くださいました。
その中に、曲線についてのお話があったので、紹介します。なお、ここでの課題は佐藤郁郎氏の発案であるとして賛辞を添えておられます。
「佐藤氏の直接の目標は、定規とコンパスで弧長が任意等分できる曲線」だったそうです。
いくつかの実例の中で、福島の算額にも数多く登場する「サイクロイド」を取り上げます。
半径1の円周上の、始め原点で x 軸と接していた点が、再び x 軸と接するまでに描く曲線は、回転角を
θ(ラジアン)として、
x=θ-sinθ, y=1-cosθ (0≦θ≦2π)
と媒介変数表示されます。
0≦θ≦φ に対応する曲線の長さは、4{1-cos(φ/2)} であり、φ=2π として全体の長さは8(高校数学Ⅲ)です。これを5等分してみましょう。
原点からの弧長が 8×(k/5) に対応する角を φk とすると、4{1-cos(φk/2)}=8×(k/5) より、
cos(φk/2)=1-2(k/5)
これらに対応する点の y 座標も、
y=2{1‐cos²(φk/2)}
となって、ともに有理数です。
k=1, 2 として、y=32/25, 48/25
これをもとに弧長を5等分したのが、左の図です。
有理数値は定規とコンパスで作図可能ですから、「サイクロイドそのものが正確に描かれていれば」上記のようにして「サイクロイドの θ=0 から 2π までの弧は任意の正の整数 n に対して n 等分点全部が作図できます」